母とぼくの北欧デザイン展

母は最初「私は撮らなくていいから…」なんて言っていたが、カメラマン役の孫にはそんな言葉は通じずパチパチとシャッターを切っていたらいつの間にかまんざらじゃなくなって笑顔になっていた。
 
どうぞぼくのことを、”このマザコン野郎” と笑ってくれ
どんな言われようをしても、確実に少なくなってきている母との時間をとても尊く大切に感じるのは、若かりし頃のぼくがあまりに未熟すぎて、亡くなった父へのこういった思いを持てずにいた事実が今をもぼくの胸の片隅に残り続けているからだ。
このような何気ない時間が持てなかった事を反省したい、償いたい、とまでは言わないが、この母との時間を持つことでこの先、ぼくがやり残したこととして永遠に自らの背中を追われることの無いようにしたいんだ。
だから母には楽しさを感じてもらいたいと思っている。幸せだと感じてもらいたいと思ってる。
 
真新しいままの車椅子は、まだまだぜんぜん外に連れ出せてない証拠。
ピカピカの車椅子を見る度に、もっともっと…と感じてしまうが、それはそれかも。
ぼくが押し、妻が押し、娘と息子が代わる代わる押すことで家族皆の気持ちが一つになるこの時は、かけがえののない時間だとも思う。
「本当は歩ければ良いのにね」という母の申し訳なさそうな言葉の裏で、皆が協力し合う家族イベントをつくってくれたんだとひそやか感じている。
だから、車椅子の母だからできる事、楽しめることをやりたいと思ってる。
そして父にはできなかった事を今、、、
それはやはり償いなのか、急いでやりたいと思ってる。
 
 
東京マラソンのその日、交通渋滞を避けてぼくらは10:30開店の日本橋高島屋に9:20に着いた。
どうだろう、
この楽しみさ加減がこの到着時刻で伝わるだろうか?笑
11時からオープンする本館の食堂で、息子の大学卒業祝いと三月生まれの母のお誕生日をまとめて一緒に祝っちゃおう!と皆で事前にメニューを調べちゃったりして楽しみにしてたんだ。
恥ずかしいことだが、ぼく、というか、ウチの会社のクレドでもある’ohana(オハナ)=家族、という言葉を唄っていながら、最近ではめっきり家族での食事が減ってしまい、娘は仕事、息子は遊び…あ、学びで、めったに時間が合わない。
だからこうしてイベントにしてしまいたいのだが、やはりこれも頻繁にはいかない。
流石に今日は、先の二本のイベントに加え「北欧デザイン展」が相まったから、これはチャンス!と皆を誘った。良かったなと思った。
 
美味しい食事は人を笑顔にし、その時間を思い出に変えてくれる気がする。
食いしん坊の我が家は、ちょっとお行儀がよろしくないが人の食べてるものがどうしても美味しそうに見えちゃって、笑いながら交換こしたりして「これオイシ〜〜〜〜っ!」とか言って、お互いの味くらべしちゃって、そのうえ皆さっさとペロリしたあとは、5人なのに6コのデザートを注文して皆で笑った。だって美味しそうだったから〜と娘。
 
 
今回の「北欧デザイン展」も見応えたっぷりで、母にもぼくがやってる仕事の世界観を伝えられたし、何故デンマークへ出張したりしている訳もわかったらしく、その上褒めてくれて良かった。
ぼくのセンスは母譲りで、音楽、アート、ファッション、文学、今では少々ネガティブになってしまうことも多くなったが、思考や人としての礼儀、言葉遣いまで影響を受けていると感じている。
もともと母はぼくが生まれる前まで西武池袋本店で働いていて、だからこそこの高島屋にも幼き日から本当に良く連れてきてもらっていた。
いつからか国の重要文化財に指定されていたのは知らなかったが、この日、あのガラス製の手動エレベーターに母と二人で乗せてもらったとき、エレベーターガール(失礼な言葉でなく)の方が屋上までのぼくらを、過去のあの日と今日を紡いでくれた気がした。
ぼくはちょっとタイムスリップし、掌に温かさを感じた。
 
一通り北欧デザイン展を見て回り、最後に一階のメインフロアに展示してあるスカンジナビアンリビングの家具を見てから帰ろうと、皆で車椅子用のエレベーターを待っていたら混んでいるのか一向に来ない。
それを見かねてか、先ほどのエレベーターガールさんが違う籠を呼んでくださった。
お礼を言い案内され乗り込むと、また先ほどと同じ温かさを感じた。それはあの当時のエレベーターの空気と同じだった。
当時はぼくだけでなく一緒にぼくの弟たちも居た。
しかし今、今日はぼくの家族がここに居る。
今度はぼくの子ども達がそれを感じてくれる日がくるのかもしれない。
あぁ、あれは良い時間だったな、と感じてくれる日がくるかもしれない。
 
日本橋高島屋の豪壮なる建築の中、今回ここに私たちエムズデザインの資料を置かせて戴けたご縁は、家づくりだけでなく、本当に私たちがつくりたい”豊かな人生”というものを再び気付かせてくれた機会だと感じました。
母との時間を大切に、
我が家族との時間を大切に、
大切な人との時間を豊かにしていきたい、
そんなステキな時間を振り返ることができました。
 
この素晴らしい時間を提供してくださった日本橋高島屋さま、スカンジナビアンリビングさまに心から感謝します。
 
 
 
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投稿者: hayashi 日時: パーマリンク

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