花より〇〇〇

「カーネーションは一本、900円もしたよ、、、
 だから、ケーキにした!
 ウチは花より団子だから (*^_^*)
 明日は母の日、
 これ常温のケーキなの
 ママいつもありがとう」
 
 
お風呂上がりでまだ半乾きの髪を撫でながら娘が妻に小さな白い箱を渡した。
妻の母歴も25年を越すと下手な演技もなく、だけど満面の笑みを浮かべ、喜びをヨダレで表現した。
こうしてお互いにかしこまることなく毎年の母の日を自然体で過ごす時間を、娘は娘なりにその役割を現しているのかもしれない。
 
 
もう遅い時間だから…
でもせっかくだから!と、カワイイ白い箱からその常温のケーキを取り出して小さく切って、デカフェCoffeeと一緒に皆でいただいた。
 
今度は娘が満面の笑みで「美味しい〜〜〜っ!」と唸った瞬間、
ぼくは、娘が母になった時の顔が見えた。
一瞬、、、でも、確かに見えたんだ。
 
 
私がもし母になったら、
こんな風にして、こんな夜を過ごして、家族と一緒にこんな風に喜びたい!
自分が母になるときのことを、遠くに見、
いつしか自分が母になったら…という未来を、自分の母に重ねているような…
そんな感情がうっすらと顔に表れていた。
 
いつかその日が来たとき、
自分がしてもらいたいことを相手にする、
その時の自分の感情を、ただそうなればいいな… て感じで予祝してしまう、
娘はそんな複雑なことなど一切思わず、ただただ感情のまま、そして満面の笑みのまま美味しいケーキをパクパク食べていた。
 
 
娘にとっての母親とは、、、
ぼくがかつて抱いていた、父親への感情と似ているのだろうか、、、
もうあまりにも昔で忘れかけている父親への想いと似ているのだろうか、、、
 
いや、まったく違うのかな、、、
男同士の感情があるように、女性同士の感覚があるんだろう。
 
 
母の日には花よりケーキを、
そんな未来の母を見た気がした
 
 
 
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投稿者: hayashi 日時: パーマリンク

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