ツーバイフォーでもリフォームできる⁈ 実例・費用・注意点まで徹底解説
「ツーバイフォーリフォームは間取り変更ができないと言われた」
「キッチンや水回りを動かしたいけど、壁は抜けないって本当?」
「壁で支えてるって聞いたけど、構造計算の必要性は?コストバランスも知りたい」
「ツーバイフォー(2×4)住宅のリフォーム・リノベーションは難しい」と聞いたことはありませんか?
実は、私たちエムズデザインへお問い合わせいただく内容のベスト3に入るほど多い、ツーバイフォー(2×4)住宅のリノベーションのご相談。多いときには週に数件のご相談を受けることもあるほど…
では、本当にツーバイフォーの家は間取りの変更ができないの??
この記事では実際のところはどうなのか、また具体的な対策から業者選びのポイントまで、今まで数多くのツーバイフォー住宅のリノベーションを行ってきた私たちだからこそお伝えできる内容を、実例や注意点を交えて、わかりやすく解説していきますね。
間取り変更が難しいって本当?
- 「何社も回ったけど、ツーバイフォーはリフォームは無理だと断られてしまって…」
- 「窓を大きくしたいけど、ツーバイフォーだと絶対にできないって聞いてあきらめてます」
- 「この家を建てた会社でしかリノベーションできないって本当??」
冒頭の声に加えて私たちのところには、ツーバイフォー住宅についてのこのようなご質問を本当に沢山いただきます。
… が、実はこれらを全部、鵜呑みにしないでいただきたいと私たちは思っています。
ツーバイフォー住宅は、壁が構造体なので確かに制約があることも多いのですが、きちんと構造をチェックしたり配管経路を工夫する事で、細かいルールを守りながら、ご希望に近づける事が可能な場合もたくさんあります。
ツーバイフォー工法ってどんなもの?
そもそもツーバイフォー住宅とは、どういう風につくられているのでしょうか?
ツーバイフォー工法とは、200年以上前に北米で生まれた木造建築工法で、「枠組壁工法」とも呼ばれています。
2インチ×4インチ(約5cm×10cm)の規格木材を柱や梁に使用し、パネル状に組み立てた壁で建物を支える構造です。
本来ツーバイフォー住宅は、北米の厳しい自然環境に対応するために、高度な断熱性と耐震性を備えた住宅で、適切に管理すれば200年 近く持つとも言われています。
その高い強度と耐震性を持つ分、壁自体が構造体になっているので、壁を抜いたり間仕切り壁などの位置を変えにくいと言われ、前述のようなお悩みをお持ちの方も多くいらっしゃいます。
では、普通の木造軸組工法(在来工法ともいう)の家とは何が違うのでしょうか??
まずは、ツーバイフォー工法と木造軸組工法の家の違いを、図でご説明しますね。
下図のようにツーバイフォー工法は面材で空間が組まれるのに対し、木造軸組工法は床、壁、柱、筋かいで空間が組まれます。
(木造軸組構法も骨組みが立ち上った後、壁面材が柱・梁に打ち付けられます。)
ツーバイフォー工法
木造軸組工法
次に、2つの違いを、項目別にみてみましょう。
ツーバイフォー工法 | 在来工法 | |
---|---|---|
構造 | 床、壁、天井の「面」で支える構造。 横からの振動に強い。 |
柱、梁、筋交いなどの「線」で支える構造。 木造では最も多い工法。 |
間取り変更 | 一定の基準で構造壁が必要になるため、比較すると間取りの自由度が低め。 | 要所要所で耐力壁は必要になるが、比較的間取りの自由度が高い。 |
耐火性 | 壁を構成する枠組み材が、ファイヤーストップの働きをするので、火災に強い。省令準耐火の認定が取りやすい。 | 省令準耐火にするためには、柱と梁の取り合いなどを、そのための仕様に合わせる必要がある。 |
電気配線、配管など | 壁の枠材や、天井裏に天井根太という構造木材が沢山入っているため、照明器具やスイッチ、上階の設備の移動などには注意が必要。 | 天井裏や壁裏には比較的空間があるため、照明器具やスイッチ、上階の設備の移動は比較的容易。 |
施工業者 | 規格化されている分、新築の際は施工が安定してるが、リフォームは色々とルールに則る必要があるので注意が必要。きちんと専門知識と経験を持つ業者選びが必要不可決。 | 日本に昔からある構造で、木造では最も多い工法なので、新築、リフォーム共に取り扱う業者は多い。ただし、リフォームの際はツーバイフォー同様、構造などをしっかり確認する必要はある。 |
上記からもわかるように、本来ツーバイフォー住宅は耐震にも火災にも強い優れた住宅なのです。
間取り変更が難しいと言われる3つの理由
それでは、なぜツーバイフォー住宅は、間取りの変更が難しいと言われるのでしょうか?
その大きな理由は次にあげる3点です。
【理由1】壁自体が構造体だから
前述した通り、ツーバイフォー住宅は壁自体が構造体になっているので、簡単に壁を無くしたり移動することが難しく専門的な考察が必要になりますし、時には構造計算が必要になる場合もあります。
【理由2】多くの業者がツーバイフォー工法のルールを知らないから
基本としてツーバイフォー住宅の間取り変更には、構造上守るべき7つのルールがあります。
これらを知らずに闇雲に間取りを変更することは大変危険です。(後ほど詳しくご説明します。)
【理由3】面倒だからやりたがらない、アイデアも必要になる
独特 の構造なので、天井裏に配管が通らなかったり、電気配線の移動などに手間がかかる部分が多くあります。工事ができるできないの前に、面倒だからやろうとしない業者も中には数多く存在します。
また、希望を叶えるにはどんな方法が良いのか、色々なアイデアを知っていることも重要です。
上記の点から、一番大切なことは、きちんとツーバイフォー工法に関する専門知識と経験を持つ業者を探すこと!
私はこれに尽きると思っています。
ここで、上記で触れた、「間取り変更の際の、7つの基本ルール」を簡単にご紹介します。
専門的な内容なので、ここではさらっと読み流してくださいね。
①建物の隅角部は90cm以上の壁を配置する
②耐力壁は基本的に90cm以上とする
③耐力壁線区画は40㎡以内とする
④区画ないの耐力壁の長短比は4:1以下にする
⑤耐力壁線上の開口の幅は壁の長さの4分の3以下に
⑥耐力壁線の直下には基礎があること
⑦開口部の幅は最大4m以下に
参考リンク:日本ツーバイフォー建築協会
ツーバイフォー住宅のリフォーム・リノベーションで、できること
きちんとした専門知識を持つ会社に頼むのであれば、ツーバイフォーリフォームも夢じゃないということがおわかりいただけたかと思います。
次に、具体的にツーバイフォーリフォームでは、実際にどのようなことができるのかをご説明していきます。
間取り変更
前述の通り、基本のルールを守りながら、基礎や屋根の組み方などを考慮した上で、間取り変更が可能な場合も往々にしてありますので、まずは信頼できる専門家に相談しましょう。
水回りの位置変更
同じ位置での設備交換はもちろん、配管の経路や勾配などをきちんと検討できれば、水回りの位置を変えることも可能なことが多くあります。2階以上の水回りの位置を変える場合は、下階の天井まわりの構造や納まりも同時に考える必要があります。
増築工事
増築ができないと思われがちなツーバイフォー住宅ですが、そうとも限りません。増築する際に、既存部分の構造に負担をかけないよう、接合部にエキスパンションジョイント(伸縮継ぎ手)を設け、増築部分の構造を分けて考えると良いでしょう。
耐震工事
工事前の構造確認で耐力壁区画に留意して、残す壁や補強する部分などを検討します。既存の図面の確認だけではなく、実際に窓や基礎の位置などの現地調査が大切になります。耐力が足りていない場合は、構造上必要な部分に、基礎や壁、梁補強などを施します。
断熱工事
新築から数十年経っている場合、スケルトンリフォームにして断熱材を入れ直すケースも多くあります。
ツーバイフォー住宅は床や壁が面構造のため気密性を確保しやすく、断熱材を入れ直すことで冷暖房エネルギーのロスを減らし、快適な空間をつくります。
窓サッシの交換・玄関ドアの交換
窓を複層・トリプルガラスやLow-Eガラスなどの断熱性や防音性に優れたものに交換することも、お部屋の快適性につながります。またツーバイフォー住宅で、窓の大きさを高くしたい場合などは、窓上に入っている“まぐさ”という補強材の位置を上部に入れ替え可能かなどを確認します。
内装工事・外装工事
壁紙や床材の張替え、扉の入れ替えなどの内装工事、また外壁や屋根の塗り替えやメンテナンス工事などは、木造軸組工法の家と同様に比較的容易に行えます。雰囲気を変えるだけで、気持ちの良い空間に生まれかわります。
以上、ツーバイフォー住宅でもきちんと手順を踏むことで、色々なリフォーム工事が可能になることがおわかりいただけたかと思います。
もちろん、中には構造上どうしても抜けない壁が出てくる場合もあります。私たちの経験上、それでも工夫をすることで他に良いアイデアが出ることもあります。まずは専門家にご希望をお話しください。
ツーバイフォーリフォームの費用の目安
ツーバイフォー住宅のリフォーム費用は、工事の大きさやプランによって大きく変わってきます。中でも、壁を動かしたり、設備の位置を大きく変えるなどの場合は、安全性の検討や補強なども十分にする必要があり、そこに大きな費用がかかる場合があります。下記に費用の目安をあげておきます。実際には家の状態によっても変わってきますので、具体的な費用は信頼できる業者に見積もりを依頼しましょう。
- 部分リフォーム(水回りのみなど部分的な工事)の目安:
- 200万円〜500万円ほど
- 内装リフォーム(構造はそのままで床壁、扉などのリフォーム工事)の目安:
- 700万円 〜1000万円ほど
- スケルトンリフォーム(間取り変更を伴うリフォーム工事)の目安:
- 1500万円 〜 2500万円ほど
- 増築や断熱工事など:
- 構造計算や役所の申請などが必要になる場合もあり、ケースバイケースになります
リフォーム費用の検討と共に、工事によっては補助金や助成金などが出る場合もあるので、事前に活用できるか問い合わせてみましょう。
業者選びのポイント
ここまでお読みいただいて、ツーバイフォー住宅のリフォーム・リノベーションを成功させるには、業者選びが非常に重要だということがおわかりいただけたかと思います。
まとめますと、もしあなたがツーバイフォー住宅のリノベーションをお考えになるのなら、下記の点に注意して業者選びをしてみてはいかがでしょうか。
- 今までに、どのくらいツーバイフォーリフォーム工事の実績・経験数があるのか。
- 「ツーバイフォーの7つの基本ルール」を熟知しているか。
- 「それはできない」「ツーバイフォーだから難しい」などとすぐにネガティブな言葉が出てこないか。
もちろん、中にはどうしても希望が通りにくいこともあるかと思いますが、その場合も「それなら、こんな方法はどうですか?」と、一緒に前を向いて考えてもらえるかということが一つの判断材料になるかもしれません。
もしご参考になれば… 成功例を3つご紹介!
さてここからは、私たちエムズデザインにツーバイフォーリノベーションのご相談をいただき、上記のような基本ルールをしっかり守って、とっても素敵にご希望を叶えた事例を3つ、ご紹介いたします。
case01 耐震も使いやすさも諦めない

老朽化が進む築30年のご自宅は、細かく仕切られた間取りで、所々に狭苦しさを感じていたという奥様。新築にするのか、リノベーションにするのかをお悩みでした。私たちは家屋を調査し従来よりも強度を高めた上で、リノベーションでもご期待を超えるご提案が十分に可能だと判断。
ツーバイフォーの構造の強さを活かしながら、間取りを大きく変更し、キッチン、ダイニング、リビングをひとつにして、広々としたLDKに。また家全体の断熱材も入れ直し、美しさだけでなく快適性も同時に叶え、心地よい空間に生まれ変わりました。
主な工事内容 | 断熱工事 / ツーバイフォー間取り変更 / 設備移動 /窓入替え / フルリノベーション |
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case02 構造計算をして大規模な増改築を

「狭いキッチンを広くしてゲストを迎えたい」「使わない和室をなくしてリビングを広く使いたい」「少しでも陽が入るように増築にしたい」「寝室や収納をゆったりと使いたい」そんなご要望を数社にご相談されるも、返ってくる言葉はいつも同じ…「ツーバイフォー工法は壁が構造体になっているので、間取り変更はできません。」 どうしても諦めたくないというお客様の思いに、私たちが出した答えは、躯体の安全性を確かめ、建物全体を見直し構造の再計算をすること。地震に備えて耐震検討を行い、増築も間取り変更も実現し、すべてのご要望を叶えることができました。
主な工事内容 | 増築工事 / ツーバイフォー間取り変更 / 構造計算 / 窓入替え / フルリノベーション |
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after 2
case03 アイデアとデザイン力で憧れの対面キッチンに

「対面キッチンにしたいけど、取れない壁あるから無理よね…」確かに、対面型にするには抜けない壁がネックになる構造体でした。奥様のご希望をどうしたら叶えられるのか、設計チームの皆から色々なアイデアが出されました。その中で選ばれたのはちょっと意外な案、キッチンをセパレートにして、オリジナルの造作のキッチンシンクをお部屋に対して斜めに配置するプランでした。またツーバイフォーでは難しいコンセントや照明の位置変更も、このお部屋のためにデザインされた造作家具や間接照明に埋め込むことで、構造体を痛めずに自由に美しく配置することができました。
主な工事内容 | ツーバイフォー間取り変更 / 設備移動 / 二重窓取付け / 造作キッチン/フルリノベーション |
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after 2
まとめ
ここまで、ツーバイフォー住宅の基本知識から、なぜリフォーム・リノベーションが難しいと言われるのかなどを中心に実例を交えてご説明してきました。
この記事を読んで、我が家はリフォームできないと諦めてしまっていた方々に少しでも希望を感じていただければ、私達はとても嬉しく思います。何度も繰り返しになりますが、やはりツーバイフォー住宅のリフォーム・リノベーションに、最も大切なことは、どこに頼むかの業者選びです!ツーバイフォー工法の住宅リフォームの実績が豊富な業者を探し、保証内容やアフターサービスまで確認して、信頼できる業者に依頼しましょう。
そして、ツーバイフォーの家が永く住み継がれ、愛され続けることを心から願っています。
もちろん私たちエムズデザインでも、ツーバイフォーの実績や経験が豊富にありますので、新規のお問い合わせはいつでも大歓迎です。少しでもご興味をいただきましたら、ぜひ下記お問い合わせフォームからのご連絡を!