福島からの風 2

恵まれているな、と感じる。

だから「ありがたい、ありがたいよ、」って言葉をかける。

 

見事だよ、

本当に見事なんだ。

欲しいのは、この仕上がり、

だが、職人の技量は腕には無く、心にある気がしてならない。

 

不思議だよ、

その域に達している人達は皆、心がステキすぎるんだ。

彼の腕が必要だから、と名指しで呼ばれる職人達は皆、相手のことを深く考え、その仕事に責任を持つ。ハートが温かすぎるんだ。

その仕事は決して彼しか出来ないことじゃないかもしれない。

だけどぼくには、彼しか出せない美しい仕上がりがどうしても見えてしまうんだ。

そして、そんな腕を持っているヤツは皆、謙虚であり誠実。ぼくの目をしっかり見つめてくれる。

相手が求めていることを察知し、それに無言で答えられるヤツは皆、なんというか心意気が違いすぎるんだ。

それは男気なのか、それとも溢れる愛なのか、、、

 

「エムズさんだけですよ、そんなこと言ってくれるのは、、、」

 

それもわかる。

その価値を理解出来ない会社、その価値を必要としない世の中、

ただただその職種の中の一社として、多くの職人の中の一人としてしか見る必要がない、

そんなこと考える必要がない、そんなたいそうな仕事が無い世の中になっちまったからな。

本当はとんでもない腕を持っているのに、それを生かし切れない世の中、そしてそれは、ぼくらの魅力にも責任がある。

『そんな腕を持っているのなら、○○な仕事をしてもらいたい、、、』

『あなたのその腕を思い切り鳴らして、こんな施工をしてもらいたい、、、』

そんな仕事が少ないのは事実だから、、、反省するよ。

 

腕が良いから、心があるのか、

心があるから、腕が良くなってしまうのか、

ぼくは確実に後者だと思う。

神さまが人間をつくったとき、その人の心が腕に表れるように作ったんじゃないかな。

面倒くさがりや、自分の事しか考えない輩は、それなりの腕、

責任を持ち、相手を敬って、その境遇に感謝をして仕事をする輩は、その腕を勝手に植え付けてしまったとしか考えられない。

 

 

すべての仕事をきっちりと納め、後片付けを終えて車に乗った瞬間、

『あぁ、良い仕事だったな…』と感じてもらえたら、、、彼と会うといつもそう思う。

そしていつも、あんな男になれたらな、とそう思う。

 

これ、林に相談しないとダメだな、

これは、林にやってもらおう、とそんな男になれたら…

 

ランチをファミレスでして、ちょっとの時間だったけど20数年前からの思い出を語った。

そんな昨日、快晴の東京地方は20度を超えていた。

季節外れの温かな空気は、ぼくらの気持ちと一緒で、もう寒くなっただろう福島の風を温かく迎えたかったのかもしれない。

 

そして、一夜明けた今朝、

夜明けの冷たい空気をスッと吸い込んだら、ツッっと鼻の奥を刺した。

「あぁ、ヤツは”福島の風”を置いていったな、」って思ったら笑いが出た。

 

 

 

 

 

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今から11年前、

2014年3月17日に書いたblogのリンクです。

「福島からの風」

平成23年に発生した東日本大震災のあと、久しぶりの再会で思ったことを綴りました。

年月が経っても変わらない腕、思い、心意気…

頼りになる、ありがたい、そう思った気持ちは、今も昔も変わらなかったことが嬉しかったです。

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・USはいい顔になり、Hは自信が表れ、ぼくとヤツはかなり老けたな、2014年と比べると。笑

 

 

 

 

 

 

 

投稿者: hayashi 日時: パーマリンク