Author Archives: hayashi

シクラメンを買って帰ろうと思った。
ちょっと大きめでしっかりした株のヤツがいいと。
頭の中ではなんとなく、予算四千円台みたいなわけわからん根拠が思い浮かび、そりゃ高い!とかムリムリ足りないだろ!とか、まあ店に行ってから考えればいいかと、でも色は何色がいいかと…。
店前にならぶ鉢を見てすぐ決まった。
パープルがいい。
珍しかった。パープルのシクラメンてあったっけ?って考えるのと、パープルのシクラメンなんて知らない?っていう混乱が捲き起こりどちらが本当かわからなくなった。曖昧すぎるがまあいいや。
でも金額が…。
迷って迷ってウロウロしだすぼくに店員さんが、プレゼントですか?って。
はい、そうです。と答えたあと、小さい声で、ぼくに… って呟いた。
シクラメンは長く咲くから、と半ばこじつけの購入理由をぼくに叩きつけて思い切って買った。
 
プレゼント包装をしてもらったパープルシクラメンを片手にぶら下げた帰り道、何度かのぞき込んで紫色を楽しんだ。
その瞬間、やっぱり良かったと思った。
パープルシクラメンは他の色のものよりちょっとだけ小さくてこぢんまりとしていたが、部屋に置いたらちょうどいいサイズだと感じた。
いつもここにあればいいのに、と感じた。
いつもここにあれば、こんな風にいつもステキな気持ちになれるのかなと思ったから。
だけど、いつもここにあることが当たり前になって、あることのありがたさが感じられなくなるのかな?とも感じて、しかしそうではなく、それを超えてしまえば、いつも手をかけてあげることが当たり前になり、常にありがたさを感じていられるのではないか?とも思った。
 
上手に育てる自信はまったくないが、パープルを楽しむ自信は満々。
だからこれはうちの奥さまに捧げることにして、ぼくは横目でそれを楽しむことに変更した。
 
 
 
 
 
 
 
 
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妙な時間に弟からかかってくる電話はこの歳になるといつもどきどきする。
案の定良い話ではなく、開口一番にその事実を告げられた。
「今朝はあったんだ。確実にあった。」
ということは、真っ昼間にどうどうと盗難にあったということか。
一人では持ち上げられても運ぶのは結構きつい。ならば車でか、と。
警察が来てくれて一巡が済んで、残念な声で二回目の電話がきた。
 
そのとき母は入院中だったからぼくは弟が余計な心配をかけないほうがいいと思って口止めをしようと思ったら、もうすでに言ってしまっていた。
まあ事実だから仕方ない。
ほどなくして母は退院した。
病院から戻って本堂のいつも置いてある場所を見、お賽銭箱の跡が四角くしっかりついた床板を見つめて言った。
戻ってきて欲しい、と。
 
本堂のお灯りと祈祷は弟がやっているが、
お稲荷さまと掃除はぼくが行っていて、あの日から、ご参拝に来て下さる方々のお賽銭はその床板の四角い跡のそばに置いてあるようになってしまった。
小銭が出っぱなしになっているのはあまり良くないなと思っていて、代わりになる仮のお賽銭箱とこの事実を告げるご挨拶文を書いて設置しようと思った。
 
このお賽銭箱は、もちろんぼくが生まれる前からある。
過去に二度、盗難の危機にあった。
一度は夜中1時ごろ、ぼくが寝る間際に変な物音がして覗きに行ったら犯人とばったり遭遇して未遂。
二度目は、完全に盗まれて、近くの公園に壊されて捨てられていた。
そんなことが過去にあったから、弟はすぐにその公園に行って探したし、ぼくもたびたび近辺を気にしてみていた。
しかし今回はそんな物語りは無いなと半ば諦めはじめていた。
 
 
その日は本社で仕事をしていた。
すると町内の大御所というか、近所のおじさんがぼくを呼びに来た。
「ちょっと気になるんだ…」と。
そのおじさんはぼくの弟から賽銭箱が盗難にあったということ聞いていたらしく、
そのことでぼくを呼び出してくれた。
「あそこに置いてあるのは賽銭箱じゃないかなぁ、二三日前からあってね、でもその前は無かったんだ、絶対に無かった。」と。
ぼくは心臓の鼓動が早くなったのと、「おじさんマジっすか、」と大声になったのがわかった。
そこに行ってみると、雨ざらしにならないようにしてくれたのか、軒下にしまい込むようにそっと置いてあった。
驚いた。
思わず手を合わせた。
手を合わせてすぐ、おじさんにお礼を言った。
少しばかり雨に当たったのか色が少し褪せていたけど紛れもなく51年間見てきたお賽銭箱だった。
 
戻ったお賽銭箱を元あった四角い跡がついた場所に戻してから母を呼んだ。
ぼくが「見て」と指をさすと、はっと息をつき、母もすぐに手を合わせた。
そしてそのあと一言ぼくに言った。
その言葉はぼくだけに秘めておきたい。
 
 
このお賽銭箱の裏には歴史が書いてあり、
その誕生は、昭和32年だった。
だからいま60歳。
ぼくは数年前に本堂の大規模修繕工事をした。
その数年前に、古くなったお稲荷さまを新築しなおした。
そして今回このお賽銭箱を心を込めて直そうと思う。
そんな機会を与えてくれたこの物語りから、ぼくは林家の歴史への敬いと、与えられた宿命という大切な気持ちを刻むことができた。
 
 
 
平成29年10月27日(金) お賽銭箱 帰還
忘れないためにここに綴らせて頂きました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 hako
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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青空をありがとう。
航空ショーの日、マニアはみんなそう思うんじゃないかな。
気温も少し上がってとても気持ちのいい日。
 
すぐに消えてしまう煙に名残惜しまぬよう
しっかりとその時間を楽しんだ。
 
 
 
 
 
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得られるものは。

10月も半ばを過ぎ秋の長雨には少しずれた感じがあるのだが、この空は数日続いている。
現場に向かうときほとんどぼくが運転するのだがたまに後ろに乗せてもらえるときがある。
ゆられる車中、ぼくは窓越しの濡れた木々に目を向けた。
すると外が雨のせいもあるのか、車の窓ガラスが鏡のようになって車内が映し出されているのに気づいた。
目線を向けると設計チーフとデザイナーの何気ない会話と笑い声が聴こえる。そしてまた窓の外の雨と流れる景色に移すと、水たまりを蹴って走る銀のトラックの音が聴こえた。
 
人はその一瞬に二つのことを知ることはできないのか。
それはあたりまえのことなのか。
 
そんなことはわかっているのだが、ここでまた、大切な物語りはその一瞬に力を注ぐことでしか得ることができないという事に気づかされる。
誰もがわかっていることなのだ。
しかし、それでも…とか、
どうにか…とか、往生際を悪くしてみたい。
 
気がつくと二人の会話が笑い声から今むかっている現場の話に移っていた。
何やら真剣に話をしていた。
ぼくは外に目を向け、車が風を切る音を後ろに聞きながら少しだけその話に耳を傾けた。
そしてちょっと寄り目っぽくして目線のピントをずらし、車窓に映る二つの景色を同時に見つめてみた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 mad
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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何年も前に工事をしたお客さまからの電話は一瞬でその時代へ戻してくれる。
まるでテープレコーダーを逆再生するみたいにキュルキュルキュルっと。
あ、これは若い人にはわかりにくい表現かもな。
 
ぼくの携帯電話番号は、今にくらべると超大型だった携帯電話全盛期の030から始まる電話番号で、もちろん今でもその番号を使わせてもらっているわけで、ときどきその時代のお客さまからの電話が鳴る。
その時ぼくはちょうど実家で母と会話している時だった。
 
「久しぶり〜」と明るい声をかけてくださったお客さま。
その瞬間、その方のご家族全員の笑顔がパッと蘇った。
ご用件は、昨年お子さまたちが独立なされたので主寝室を広々とさせたい、とのことだった。
嬉しい。ただただ嬉しい。
 
新しいお客さまとの出逢いはとても嬉しい。ありがたい。
しかし、それと同じくらい昔のお客さまとの再会はとても感動する。
新しい物語りはいつも突然降りてくる。
古くからのお客さまの新しい物語り、
ぼくはそれを求めている。いつも、いつも。
その感動が欲しいから、日々新しいお客さまに出逢っているんだとも思う。
 
 
あの頃からぼくは成長しましたか?
ぼくはその成長を知ることで、またこの場所から進める気がします。
 
すべてに感謝。
すべての出逢いに、そして新旧すべての新しい物語りに感謝。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ata
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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夏土用明け

成功は最良の出逢いから生まれると信じています。
家づくりの成功は最良の出逢いから生まれると信じています。
私は、愛すべき我が恩師と出逢ったとき、
この仕事にすべてをかけようと決めました。
 
ハートとハートが繋がったとき、愛が生まれるように
その出逢い、繋がりこそが、安心と成功を導くと信じています。
 
今日までのたくさんの出逢いに感謝
まだ見ぬあなたとの素晴らしい出逢いを願って
感謝
 
 
 
今までのお客さま、
現在、工事進行中、プランニング進行中のお客さま、
今年も全スタッフ夏期休暇を頂けることに感謝を申し上げます。
ありがとうございます。
 
まだ見ぬこのブログをご覧頂いている将来のお客さま、
お盆休みには多くの家庭で家づくりの話が出ていることと思います。
毎年この長いお休み中に、たくさんの資料請求を頂戴します。
お悩み中の方、よろしければご請求くださいませ、
そして、どうかお気軽に。
あなたさまのお力になれるかもしれません。
 
素晴らしき出逢いを願って。
ありがとうございます。
 
お願い:お休み明けのご発送になりますことをご了承くださいませ。
 
 
 
 
 
 
 
 
pav
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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切なさの訪れ

子供のころは、外に出て真っ黒に日焼けして遊んでいた元気な子供じゃなかった。
どちらかというと、
窓から強烈に差し込む西日に映し出される自分の影を見ながら好きなレコードを聴いている子だったかもしれない。
だから、その反動なのか、今
その頃、本当は欲しかった子供らしい元気な姿を、いまになっても追っているのか、まさかこんな歳になってそれはないと思うのだが。
 
梅雨が明けた瞬間、あれだけ楽しみにしていた夏が始まったとたん、
その夏と一緒になぜか「切なさ」が訪れる。
気温が高く、暑くて暑くて大変な日は良いのだが、
ちょっと涼しかったり、秋空のような、ちょっと空が高かったりすると、えっ?って、
まだ夏終わらないよね、って心が揺れてしまう。
 
それでも今年の夏は、何年ぶりかで家族旅行に行かれる。
やりがいのあるお仕事もたくさん入っている。嬉しいです、皆さまに本当に感謝。
久しぶりに花火も見たいし、読みかけの本を持って大好きな海にも行きたい。
まずはベランダの窓を少しだけあけて、小さな音でギターを弾いてみた。
ご近所からBBQの美味しいそうな香りが飛び込んできて、それを盛り上げてくれた。
 
51回目の夏
現場からの帰り、ギンギンに冷えた冷蔵庫のような車内に飛び込んだ瞬間、真夏の幸せを感じる。
ぼくが今まで培ってきた仕事の自信、設計のこだわりをこれからどう出していくか、
今年はこの夏にそんなことを教えてもらおうと思ってる。
 
 
 
 
 
 
 
 
sea
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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思いを込めて綴ったから
それが届けばいいなと思ってる
 
あの日届いたメッセージには
ずっと大切にしてくれていた優しさが
 
時が経つにつれ薄れかけていた思いは蘇り
あの時間が美しかったのだと回想した
 
もしもあなたに返事が届いたなら
あの時代が本物だったのだと伝えられている
 
いつでも二人は with passing time
同じ季節を
 
ぼくと一緒に with passing time
同じ時代を見たのは君だけ
 
ぼくはふたたびあの時のメロディーを奏で
ふたたびあなたからのメッセージを待つ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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感謝の宴

 
長年ぼくと同じ時間を過ごしてくれた大工の平山さんがこの度お仕事をあがられる。
長であるぼくも51になったとはいえ、まだまだ未熟なぼくらを残して大物の先輩があがられることに不安と寂しさが入り混じる。
今日は今までの感謝を綴りたい。
 
三月のある日、奥さまが倒れられた。
ぼくがそれを知ったのは、すでに気候が変わり春の香りが落ち着きだした頃だった。
ぼくらの心配をよそに、彼の仕事ぶりはいつもと何変わらず、
しかしその変わらない姿がぼくに少しだけ心配を呼んだ。
 
少しだけ時は過ぎ、
入院されていた奥さまの退院が決まったことはとても嬉しいニュースだった。
それに伴い、これからは家での生活の中でリハビリを続けられることになる、とスタッフから告げられた。
 
彼は自分の仕事より、いや、自分の生き様を変えて、家族との時間を選んだ。
「これからは、かみさんと一緒に居てリハビリをしようと思います。」
ぼくは流石だと思った。当たり前のことなのかもしれないが、流石だと思った。
 
大工仕事が大好きだった彼の腕は言うまでもなく、
その功績はうちの20代、30代のスタッフにも多大な影響を与えた。
 
ぼくは平山さんのこの卒業をどのように考えようか。
頭をひねることなく、その答えは一瞬で現れた。
 
「娘さんを呼んで、うちのスタッフ全員でパーティーしよう!
で、せっかくやるなら、スタッフの家族もいっぱい呼んで、皆でこの門出を祝おう!」と。
ぼくは、彼の二人のお嬢さんに、お父さんの仕事姿を見てもらいたい、そしてエムズデザインでの功績と、こんなに素敵なスタッフと一緒に仕事をしていたんだ、という二度と見られない格好いい父親の姿を目に焼き付けてほしい、と思った。
それこそが、ぼくらの提言している「’ohana の心得」だ、とも思った。
 
 
お嬢さんを連れてきた彼は、今まで見たことのない父の威厳が漂うながらも優しさ溢れる父親の姿だった。
オハナにちなんで「ハワイ風」なパーティーということで、彼とお嬢さんにお花の首飾りをかけてあげたら、今まで見たことのない、ちょっと面白い光景だった。皆で笑った。
スタッフ一人一人からの贈る言葉のメッセージに、何故かぼくが心打たれ、もちろんそれを聞いてる平山さんの顔もとても温かかった。
仕事中には見られないその温かな笑顔は、ぼくらも自然に笑顔にしてくれた。
感動の時間だった。
時間が経つのは早く、楽しい宴はすぐに終わってしまう。
一通り、飲んで、食べて、笑ったあと、
最後に平山さんがお言葉をくださった。
ポケットの中でちょっとくしゃくしゃになった紙に書かれたぼくらへのお言葉はとても重かった。
しかしその温かなメッセージは、確実にスタッフ皆を勇気づけた。
そして、
オハナの扉を出て行く後ろ姿に皆で感謝の拍手、
一つの歴史が終わった。
 
 
今日ここまで、
ぼくというパートナーを選んでくださってありがとうございました。
これからは奥様との時間を楽しくゆっくり元気に過ごしてください。
感謝。
 
 
 
追伸
この日の準備をするために、我がスタッフのチカラは偉大だった。
めちゃくちゃ美味しい料理を、素晴らしい現場の記録、思い出のmovieを、手分けしての設営の準備を、みんなありがとう。
皆のすべての思いは必ず実る。
素晴らしいよ。
ありがとうね。LOVE
 
 
 
 
 
 
hira
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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現場日和 屋上防水

 
大規模リノベーション&修繕工事を行わせて頂いております。
この建物は、重量鉄骨の三階建て。
内外装のすべてを生まれ変わらせて、新しい活躍をしてもらいます。
 
これは、新しくなった屋上の防水の写真。
現状は、表面の劣化がひどかったので、既存と同じ施工方法はNGにし、今回はまず材料、施工方法、金額、メンテナンス性、を考え、4種類を選び、その中から最も適した方法を選びました。
 
仕上がったばかりの防水層は、さっきまで降っていた雨をキレイにまん丸水玉にはじいてくれてとても気持ちがいい。
皆で仕上がりを満喫しながら、今後の工程を話し合いました。
 
ありがとうございます。
 
 
 
 
 
 
 
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